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2022年11月10日木曜日

Librarian

ネオアコを突き詰めていくと必ずぶち当たるのはカセットコンピ。80年代末頃はインディーズのカセットコンピがいっぱいあって、お気に入りのあのバンドがカセットコンピにしか収録していない曲があったり、新たなバンドをそこで発見したりとまぁ色々あった。たぶんお金の関係でレコードは出せなかったけどカセット音源でならばイケる、みたいな感じでカセットでしか見かけないバンドというのもいっぱいいた。我々リスナー、しかも遠く離れたニポンではこれらのカセットをゲットするのは結構難易度が高く、かつようやく手に入れたとしてもカセットゆえ、音質が基本悪くて手間とお金をかけた割にはあんまり満足できないなということも多々ありました。

さて、当時の僕はあらゆる手段を駆使して色んなカセットコンピとかデモカセットなんかを買っていました。


そんなある日気がついたんですよね。あれ、どのカセットコンピにもコイツ、いるよね、と。それが今回紹介するLibrarianです。とりあえず上に挙げたネオアコ界では有名なカセットコンピの"And They Call It Pop!","Something's Burning In Paradise","Instants Of Pleasure","Positively Teenage!!?"にはしっかり参加しています。その他にも様々なカセットコンピで彼らの名前を見る事が出来ます。

音的にはサラレーベルのバンド達の音をしょぼくしたような簡素な音で正直そんなには惹かれなかった印象があります。その後91年に自主製作のこれまたカセットアルバム"Never Been To Basingstoke"をリリースしました。ちなみにThe LibrariansからLibrarianに改名しています。あと、僕の記憶ではMyspace全盛時代にCDrでアルバムを出してたような記憶があるのと、本当かウソかはわからないけどバンド名通り、図書館司書の資格を持っててそっちの仕事が忙しいからCDrを作れない=お前に売れない、とか言われたような記憶があります。勘違いかも知れないけど。"Never Been To Basingstoke"を聴く限り、確かにナイーブな感触のネオアコなんだけど、いかんせんカセットゆえに録音&音質が悪く(フィジカルのそれと比較すると)、これはマニア向きだなと思いました。


そんな懐かしの思い出を仕事中にぼんやりと思いだして興味がわいて調べてみたんだけれど、このLibrarian、マーク・リッチーとステファン・ボイドという2人が中心のユニットで、特にマーク氏はテープというフォーマットにかなりの思い入れがあるらしく、出す音源出す音源全部カセットオンリーのリリースだ。しかも数えきれないくらいの変名ユニットがあり何がなんだかわからない笑 一時期はKAW Tapesというカセットレーベルを運営していて、このレーベルは"The Secret Of Confident Dressing"というThe SiddeleysとかTeenage Fanclubなんかも参加してたカセットコンピを出してたんで名前は知っていたけどまさかそこを運営してたとはね。様々な変名ユニットで様々なカセットをリリース、カセットコンピにも参加していた彼だが、さすがにここ5~6年はリリースはCDrベースになっている模様。また、彼は80年代の活動初期からファンジンも刊行していて、そのキャリアの中で、ずっと色んなファンジンを作っている様子も見られ、2005年には『ヒロシマ、イェー!』という謎のファンジンを作っています。この名義でコンピレーションCDrなんかも出しています。そんな彼のヒストリーがなぜかギリシャのブログに掲載されてましたのでどうぞ。


まあ、この人は根っからのアングラ体質なんだろうね。結局売れなかったからなのか、それともあえてこの道を選んだかはわからないけど。日本人でいうと誰に似てるのかな…ジャガーさん? 現在の彼は"Gertrude Tapes"というやっぱりなカセットのレーベルに在籍中。


最後に今となってはなかなか探し出すのが困難な彼らの音源。youtubeのコメントにはリアルパンクとか書かれてるけど、個人的にはサラレーベルとかにいたちょっとノイジーな音を出すバンドに似てるなと言うかなんというか…。C86系のカセットコンピを10個買ったらその内の半分近くには体感でLibrarianの名前を見かける位いっつもいる、そんなバンドでした。

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