以前に紹介したオーストラリアのThe Mandelbrot Set。イギリスにも同時代に同名のバンドがいたけどそっちじゃないよ。1st CDEPをこのブログで以前に紹介しているのでそちらと併せてご覧頂ければと。90年代初頭に活動してたバンドで1stの"A Place Called Kansas"収録の"Landslide"という曲はスミスっぽいといえばスミスっぽい曲で、ごくごくごく一部で話題になってたバンド。話題っつってもどこかの店で売られてたとかそういうわけでもなく、マニア同士の情報のありとりの間で、という意味です。そもそもに日本のお店で売られてるのを見たことないので。余談ですがその後、The Pontoonsというバンドがこれまた"Landslide"という同じタイトルでこれまたスミスっぽい曲を7"でリリースしていたりします。曲名は同じですが曲自体は全く違います。さて、話は戻ってこの"A Place Called Kansas"には"Julia"という僕的にはもうどうしようもない名曲も収録されてたりします。基本的にこのThe Mandelbrot Setはシューゲイザータイプのバンドという認識で、今述べた"Julia"もそんなシューゲイザータイプの曲です。
その翌年、前作と同じRa Recordsからリリースされた2nd CDEPが本作になります。今作ではもう大幅にテクノロジーが導入されて超デジタルです。ギターポップ+シューゲイザーな音の隙間にぎっしりと電子音をはめ込んで作り上げられた様式美すら感じさせる音はどこか偏執的なものさえ感じさせます。The Lightning Seedsの名曲"The Life Of Lily"、あれは誰が堂言おうと名曲ですが、これも音の隙間の存在を許さないぞ!という位に音を詰め込んで、美しいけど息苦しいぜ、という印象を持ったものですがまさにあれと同じ感覚。いったい彼らに何が起こったのでしょう。全体としてとにかく音の濃度をあげてダンスミュージック的なアプローチをとってるんで前作にあった爽快感というものは感じられないですが、その中で"*****"という伏字な曲、これはスリーブにもこう表記されてるのですが、この曲だけは曲の骨格が"Landslide"みたいなストレートなギターポップです。この曲が聴き所です。ただし! 狂ったようにデジタルな音処理が成されててさながらデコレーションケーキみたいな様相を呈していますので好き嫌いがわかれるかもです。
シンガーに聞いたんですが1stを出した時点で、音楽に嫌気がさしたか、メンバーに嫌気がさしたか、業界に嫌気がさしたかのどれかの理由で(すみません、どれが理由か聞いたんですが忘れてしまいました)、このような音になったんだそうです。まあ…軽く病んでたのかもしれませんね。ともあれ、バンドはこの2ndで瓦解。メンバーはそれぞれの道を歩き始めていきます。シンガーはその後、音の趣味がクラシックに移り、アンビエントな作品をちょこちょこ発表していたりします。
ちなみにこのThe Mandelbrot Setの2枚のCD。eBAYに出ると恐ろしく高くなりますが、ネット上にあるレコ屋でひっそりと売っているものを見つけると、それはうんこみたいな値段で売られています。
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