Translate

2014年5月8日木曜日

V.A/Seeds 1:Pop

当時のギターポップ愛好家には垂涎の一品でした

87年にCherry Redからリリースされた超名盤の"Seeds 1:Pop"。当時はココ日本ではなかなか手に入らずに、いわゆるレコード屋さんの放出日の目玉アイテムになってたんだぜ! いまじゃ1000円とか2000円で普通に売ってるんだけどね。なぜ目玉アイテムだったのかといえば当時は手にするのはほぼ絶望的だったFantastic Somethingの"If She Doesn't Smile"やThe Pastelsの"Heaven's Above"、ギターポップファンにはパワーポップの扉を開けるProtexの"Don't Ring Me Up"やThe Distractionsなんかが収録され、さらにさらにMarine GirlsやGirls At Our Best!やHurrah!、The June Brides、The Sinatras、Television Personalities他を網羅している当時としてはトンデモナイ1枚だったのですよ。しかもトドメにThe Suede Crocodilesの"Stop The Rain"まで収録しれていて、特にこのSuede Crocodilesの曲を収録した7"はレコード屋さんに行けば必ず棚に飾られお値段は7万~8万円台というネオアコ界での高価格ベスト3に入るレコードの曲を収録してたんですねぇ~ネオアコあるあるです。このSeeds 1:Popはずーっとあまりにも手に入らない状態でしたがその内カセットのバージョンがLPよりも割安で出回り始め、僕なんかはそのカセットで初めてこのコンピの全貌を知り得たという思い出があります。ジャケもキレイだしね、後に価格が安定した時にはこのLPは思い出用に買っときましたよ。もう数々の名曲たちはそれぞれCD化された後でしたが(ていうかCD化されたからこのLPが安くなっていったわけなんですけどね。) ついでに言うとこのSeedsシリーズって5まであるんですね、3まではレコード屋で見たことがあったけど4と5はこれを書くにあたって初めて知りました。あと、このコンピの収録バンドはそれぞれ色んなレーベルに所属していて、時代も80年代前半から終盤までまんべんなくチョイスされているんですが、これをプロデュースした人は相当な敏腕だったんだろうなと思います。グッショブ!

さて、前置きが長くなりましたが、このSeeds 1:Popに収録されてるバンドでVital Disorderという人たちがいるんですが収録曲"Tough Times"がラッパも入ったなかなかなポップな曲でしてね、結構好きなんです。さすがyoutube、かゆいところに手が届くアップロード♪

時代を感じさせるバンドのみなさん in 81
きわめてポップなんだけどどこかポストパンクというかニューウェーブを感じさせる曲調。それは81年のリリースという事実に僕が勝手に目まいを覚えてるのか、それとも単に知識不足なのか…それはさておき、この"Tough Times"が収録されてる"Pram EP"のB面を聴いた時その思いはさらに強くなったのでした。ていうかB面の曲はもはやダブじゃねーか! まぁこの時点で気が付いたのはたまたまSeeds 1:Popに収録されたのでギターポップのファンの目に留まったが、このバンドの音楽的なバックグラウンドはレゲエ/ダブ/ポストパンクなんじゃないかと…。
ところでこのVital Disordersにはカール・グスタフ(以下、カールおじさん)という人が一時期参加しています。このカールおじさんは実はThe Kamikaze PilotsとThe Kamikaze Sex Pilotsの中心人物でもあり、むかしはCarl Gustav & the 84sというバンドも率いてた裏街道まっしぐら!な人でもあります。まあカルトですな。
  
コーデリアレーベルのコンピより。このレーベルもアングラ臭がぷんぷん。アラン・ジェンキンスばんざい。
The Kamikaze Sex PilotsとThe Kamikaze Pilotsとして7"を各1枚ずつのリリース。The Kamikaze Sex Pilotsの方はわりとストレートなギターポップですが、The Kamikaze Pilotsの方では下にアップした"Sharon Signs To Cherry Red"がココ日本のギターポップ愛好家の間でひそかな人気に。
ネオアコちっくなんだけどそこはかとなく漂うニューウェーブ臭…
Kamikazeとバンド名に名付けるくらいなのでジャケットには日本軍人をあしらった写真や日章旗をモチーフにしたジャケ写、さらには上のプロモを見てもわかるようにじゃぱんをバカにしてるか、さもなきゃ本とかで読んだ日本のイメージをまんま信じ込んでるような活動にはちょっとだけうーんとうなってしまいます。Carl Gustav & the 84sの7"も欲しかったんですが高かったんで買えなかったんですよね。曲のタイトルが"ロシア人をぶっ殺したい"なんできっと音はアレなんだろうなというのも想像できたので…。

でだ、ようやく本題に辿り着いたんですが、そんなこんなをやってて先日忙しい業務の合間をぬって"カールおじさん"で検索してたらVital Disordersの名義でThe Kamikaze Sex Pilots,The Kamikaze Pilots,Vital DisordersとCarl Gustav & the 84sの全曲を収録したコンプリートCDが発売されてるじゃーん!

"A Complicated History"と題されたCDは上記のユニットたちの曲が全23曲たっぷり収録。The Kamikaze Sex PilotsとThe Kamikaze Pilotsはシングル全曲収録、一度聴いてみたかったCarl Gustav & the 84sも7"の2曲を収録。やっぱりポストパンクというかなんというかそんな感じの曲。大金払って7"を買わなくってヨカッタ。メインのVital Disordersはシングル全曲と未発表曲を収録。珍しくインナーを読んで勉強してみたところ、バンドのメンバーの変遷とかが載っててわりと楽しかった。やっぱりVital Disordersはレゲエ/ダブが好きだったようでかのデニス・ボーヴェルのスタジオで録音してみたりプロデュウスしてもらったりカバー曲をやってみたりと…。レゲエっつってもエゲレス的解釈とでもいうか、オリジナルレゲエやオリジナルスカみたいなカンジじゃなく、アバンギャルドなひんやりした感じのソレ。当然ダブもそれ系統のサウンドになっとります。まあ…正直聴きづらいわな。とにかく87年とか88年とかじゃなく80年代前半なのでどことなくアンダーグラウンドな空気に包まれて、パンクの映画とかに出てくる町並みとか人々とかそういうのを思い起こさせます。僕だけか? Vital Disordersに関しては結局"Tough Times"だけがポップで突出してたんだなあと改めて思いました。ちなみにボーナストラックの内1曲はポップな曲で気に入りました。ラストはイキナリのアカペラで歌い上げててびっくりしました。
僕は見つけて数秒で購入を決めましたが、他の人はどう思うかな? いずれ僕なりに語りたいんですが86年~89年あたりのギターポップと85年以前のギターポップは日本では基本同じ土俵で語られますが根本的に違うものだと思っていますので、86年~89年っぽい音だと思うとたぶん失敗すると思います。それがわかっていれば曲うんぬんもさることながら、時代の空気感みたいなものも楽しめると思うのですよ。

果たして日本に入ってくるか、それはひとえにレコード屋さんの目利きのかかっております。たぶんパンク系のレコ屋には入ってくると思うんですがギターポップ系はわかんないなぁ…

0 件のコメント:

コメントを投稿